図書館の紹介(主に早稲田大学)
《目次》
1. はじめに
2. 早稲田大学図書館全体で共通する話
3. 各図書館・読書室の個別の話
(ア) 図書館
(イ) 学生読書室
(ウ) 教員図書室
(エ) その他の図書室
4. 番外編
5. 終わりに
【はじめに】
早稲田大学には、教員図書室も含めると20以上の図書館・読書室がある(https://www.waseda.jp/library/libraries/room/)。身近にあるので、その凄さは実感できないかもしれないが、早稲田大学の図書館はかなり優れていると言える。洋書は比較したことがないが、和書は結構充実していると思う。新刊を含めて、所蔵されている本にアクセスしやすい点が国立大学の図書館との違いだろう。
私はよく図書館を利用しており、学部生が入ることのできる場所はほとんど全て入ったのではないかと思う。今回は6月のアドベントカレンダーとのことで、まだそれほど早稲田の図書館の勝手に慣れていない御仁もいらっしゃるかと思い、図書館紹介の記事を書いてみることにする(早稲田の学食や生協もほとんど全て行ったことがあり、そこそこ詳しかったりする。学食はグランド坂と所沢、生協は理工書籍部とブックセンターが個人的には気に入っている)。公式情報はサイトを見ればある程度わかるだろうと思い、一学生が実際に使っていて気づいたことを中心に気ままに書き連ねようと思う(主な読者は学部1年生を想定しているが、1年生以外であっても少しでも役に立つ情報があればと思う)。
あまり使っていない場所や、最近行っていない場所だと誤った情報が含まれているかもしれないが、ざっくり受け止めていただければと思う。図書館紹介というより、個人の日記・体験記、tips集みたいになった感がある。ブログだからこれでも良いのか。(書いて1ヶ月後くらいして見直したところ、あまりに内容が薄くて愕然とした。)
【早稲田大学図書館全体で共通する話】
一度に借りることが可能な冊数
早稲田大学は、学部生は一度に15冊の本を借りることができる。10冊という大学も聞くので、比較的多いのではなかろうか。一度に15冊も借りてでかいカバンに入れて持ち歩いていると、テロ警戒中の警察官に職務質問を受ける可能性がある(確かにGEBは鈍器になるかもしれないが…)。経験上、書籍の一部だけを比較する場合(数学の証明方法の比較など)以外、多く借りすぎても一部が積読になる可能性が割とある(U.エコも言っていた気がする)。多くても10冊くらいで良いのではないかと思う。
雑記
● 「盗難多発」、「席を離れるときは貴重品を携帯するように」といった注意喚起が至る所にある。初めて図書館に入った時、なんて治安の悪い場所なんだ、と感じたがどこの図書館にもあるようだ。一定時間荷物を置いたまま席を開けると、見回りの人が注意を促す紙を置いてくれる図書館・読書室もある。
● コロナのせいで図書館のウォーターサーバーが使えなくなっている。その結果、ペットボトル飲料を購入しなくてはならないことも(理工学図書館は外のウォーターサーバーが使えて助かる)。
● 日本十進分類法がざっくり頭に入っていると、本を探しやすい(意外と大事だと思う)。
● 18時を越えると人がかなり減る。
【各図書館・読書室の個別の話】
<図書館>
中央図書館
皆さんの方がおそらく詳しく、あまり新しい情報を提供できないように思う。
・言うまでもなく学術雑誌が豊富。また、図鑑や辞典も豊富。
・各国の新聞が読める。
・バックナンバー書庫は、4階に理工系の雑誌がある(が、そこに行くまでにエレベーターはない)。
・新刊が結構早く入ってくる。本にもよるが本屋に並ぶのと同じか少し遅いくらい(言い過ぎ?)。
・サイレントリーディングルームという、読書に特化した部屋がある。
・4階で昔の映画が見られる(たまに片耳が聞こえない)。レーザーディスクも見ることが可能。2000年代以降の作品は少ない印象。グループ視聴も可能だが、事前予約が必要なはず。キネマ旬報が結構置いてある。平日は18:30まで、土曜日は16:30まで、日曜は休室。
・もともと、4階が閉まるなどの館内放送が定期的にあった(18時とか)が、コロナ注意喚起放送がさらに増えて(14時とか)、ほんの少し気が散る。最近、放送が減った気がする。
・通話ができる部屋があり、急な電話の時に助かる。
・英語の多読用図書が他の図書館・読書室よりも豊富。
・入口の一番左のゲートが確率で反応が悪い。ゲートが開くのが遅い上にあまり開かない。
・地下の研究書庫は、緑のライトと赤のライトが交わるところが出口になっている。
・建物の入り口に大文字で書いてあるQUAE SIT SAPIENTIA DISCE LEGENDOの二文字目がVではなくてUになっている。
高田早苗記念研究図書館
・基本的に学部生は入れない。この図書館にしかない本があれば、学部生でも入り口で紙に目当ての本を書けば入ることができる。
・8階建て(地上7階、地下1階)だが、エレベーターがない。
・洋書や専門書が多くて面白い本が多い。
・長期休暇中でも夜遅くまで空いていることが多い(22:00)。
戸山図書館
・雑誌「数理科学」のバックナンバーが置いてある。Cover, Thomasの情報理論の本だったり、意外と理工書もある。
・館内放送が基本的にない。
・詩は中央図書館よりも多いかもしれない。芸術は中央図書館に軍配が上がりそう。英語など語学学習の本が意外と豊富。
・(実は)エレベーターがある。
・新刊コーナーが小さいがある。
・自由に持って行っても良いTimes紙のバックナンバーがある。たまに、廃棄図書の放出もしている。
理工学図書館
・科学新聞、週刊読書人、日刊工業新聞など、珍しい新聞が読める。
・中央図書館にない、ジャーナルが置いてある(主に理工系)。
・理工学読の本は返せない(学読に行ってくださいと言われる)。
・新刊コーナーがない。
・学読よりも椅子が良い。
・図書館で唯一トイレが中にない。
・B1の増設書庫に洋雑誌や建築とかの和書がある。(新刊がしれっと陳列されていたりする)
・洋書・雑誌のバックナンバーが多い。
・夏は涼しくて快適。
所沢図書館
・朝鮮日報とJapan Timesしか海外の新聞がない。人民日報がない。
・早稲田の図書館でおそらく唯一埼玉新聞が読める。
・雑誌の更新が壊滅的に遅い(例えばNewtonやサイエンスが4ヶ月前のことも!)。
・早稲田の図書館・学読の中で唯一、ブルーバックスが一箇所に固まっている。最初期のブルーバックスはここにしかないのではなかろうか。
・他にも新書・文庫が一箇所に集まっている(ちくま新書とか新潮文庫などはバラバラの配置)。
・晴れた日は中庭に出て本を読める。中庭では、飲食可能。
・新刊コーナーがある(周回遅れ)。もはや新刊ではない…?
・土曜日に18時までしか開いてない。
・多分全図書館の中で一番ゲートの反応が良い。
・各分野の古典や専門書は基本的に売れ残っており、取り合いになることがない。
・置いてある本のジャンルは広い方。幅広くあつかっている図書館・学読の中での規模は、教育学読<所沢図書館<中央図書館の順。
・医学・生物学・心理学・スポーツの本の数はもしかしたら大学で一番多いのかもしれない。
・(生協に岩波文庫が2冊しかない…)
<学生読書室> *理工以外の学読は合計5冊までしか借りられない
李健熙記念図書室(政治経済学術院学生読書室)
・読書室にしては、新聞の種類が多い。
・放送大学の本が一箇所に固まっている。
・本が少なく、特徴に乏しいが、個人的になぜか一番落ち着く(地下だから?)。
・廃棄図書の放出をよくやっている。
・新刊コーナーがある(周回遅れな気もする)。
法学部学生読書室
・小説が学読の中では一番多い(気がする)。
・いろんな種類の文庫・新書が一箇所に置いてある。
・NHKブックス、岩波ブックレット、朝日選書、丸善ライブラリー、などが一箇所に揃っている。
・六法全書とか1日だけ借りることできるようだ。
・自然科学の本が極端に少ない上に古い。
・学読にしては珍しく中にトイレがある。
・特設コーナーがある(歴史、論文の書き方、留学など)。
・新着図書コーナーがある(基本的に法律の本)。
・結構広い(雑)。
・法律の本たくさん(雑)。
・「現代思想」が入荷されなくなるという噂。
教育学部学生読書室
・個人的に一押しの学読。
・学読の中では多分一番蔵書数が多い気がする。
・幅広くいろんな分野が揃っている。
・『入試数学の掌握』や『エヴァンゲリオン×ことば選びの辞典』など変わった本が多い印象。
・昔の教科書が揃っている(小学校の頃の教科書や中学校の「技術」の本とか眺めると、ノスタルジーを感じられる)。
・珍しいことに絵本が少しある。
・TOEIC、TOEFLの本が少しある。
・新刊コーナーがあり、理工学読よりもどの理工書が新しく入ってきたかがわかりやすい。
・充電ができないパソコン利用可能席がある。充電ができる席でもコンセントの差し込み口が一つ。充電に厳しい。
・本を借りる際に、他の図書館・学読とは違って返却日をハンコで押される。それゆえ、今までその本がどのくらい借りられたのか、ここ20年は読まれていないな、ということなど歴史性が感じられて少し楽しくもある。
頂新国際グループ記念学生読書室(商学部・国際教養学部学生読書室)
・有名なTOEFLの単語帳が少し前に入荷された。
・留学ジャーナルが置いてある。
・他の学読と比べ、洋書が豊富で、Very Short Introductionsシリーズが一箇所に揃っていたりする。
・商学部学生読書委員会みたいな存在がいる。
・ビジネス書が多い印象(四季報とかある)。
・『地球の歩き方』がある。他にも観光本がいくつか。
・ウミガメのスープの本がある。
・外部の人間には分かりにくい本の配置をしている。
・自然科学の本はほとんどゼロ、数学もほとんどない。だが、有名な理工書の原著があったりする。
・新刊コーナーあり。
・トイレは外。
・たまに廃棄図書の放出をしている。
社会科学部学生読書室
・スカイツリーが見える唯一の学読。
・7階にあり、行くのが少し面倒。(エレベーターが修理中なので尚更。)
・放送大学の本が一箇所に揃っている。
・新聞が置いてあるが、更新が少し遅かった気がする。
・体感だが蔵書数が少なそう。
・商学・国教学読より少ないながらも『地球の歩き方』がある。
・パソコンが使える席が限られている。
日本語教育学生読書室
・名前から分かるように、主に、日本語を学習する留学生用。
・日本語についての本が多い。
・子供向けの本もあった気がする。
・言語学の本も多かったような。
理工学生読書室
・有名な本は、同じ本が5冊とか複数冊あることもある。
・椅子が硬い。
・理工書の品揃えは早稲田の他の図書室・読書室と比べて別格。だが、理工書以外の品揃えが壊滅的。語学の本と村上春樹の小説と経済学と伝記と科学史、科学論の本が少しあるくらい。
・他の学読・図書館の本は返却できない(少し不便)。
・本のカバーが剥がされていないものが多い印象。
・新刊コーナーがないから、さりげなく新刊が増えている。
<教員図書室>(入ったことがない)
李健熙記念図書室(政治経済学術院研究図書室)、法律文献情報センター、教育学部教員図書室、商学研究図書室、社会科学部教員図書室
<その他の図書室>
坪内博士記念演劇博物館図書室(貴重書・外国語図書AV資料)
未踏
坪内博士記念演劇博物館図書室(和書)
タレント名鑑・言葉に関する図鑑・過去の映画資料があった気がする。坪内逍遥によるシェイクスピアの訳本があった気がする。2部屋で狭かった。荷物をロッカーに預けて入る。
国際文学館研究書庫
村上春樹の本が並べられていた。早稲田の図書館はどこでも村上春樹を祀っているから、個人的にはわざわざ行く必要をそこまで感じない。強いていうなら、1回のカフェで本読んでいたら早大生っぽい(?)
教育学部数学資料室
洋書の専門的な数学書が多い。ひょっとしたら、ジャンルによっては理工学図書館よりも多いかもしれない。最初入った時は敷居が高く感じたが、学年が上がるにつれて素晴らしい場所と認識するように。
教育学部心理資料室
行ったが薄い記憶しかない。
教育学部地球科学専修資料室
未踏
【番外編】
国立国会図書館
日本で出版された本ならなんでもある、みたいな噂を聞いてウキウキで行った。だが、ほとんどの本が書庫に入っていて、自由に手にとって見ることができずひどく落胆した(私的ガッカリ名所に認定したい)。伝わりにくい例えかもしれないが、書庫に入っておらず手に取れる本は多分早稲田の学生読書室一つ分くらい。
読みたい本をPCで請求して書庫から出してもらうのだが、一度に3冊までしか請求できない。その上、手元に届くまでに30分程かかる。
最近デジタル化が進んで、博士論文や絶版本が今年から、国立国会図書館に行かなくてもスマホなどで閲覧できるようになったみたいなので、そこにしかない本が特にない場合は行く必要はないのではないかと思われる。
ちなみに、建物内には生協に似た売店、カフェ、床屋、靴屋が入っている。カフェで富良野スパカツ(=スパゲティ+トンカツ)を食べた記憶がある。
公立図書館
子供向けの(絵)本・図鑑・教育漫画、るるぶ、郷土史、DIY、手芸、クッキング、イラストの書き方、釣り、マジックなど、大学図書館にほとんど置いていない本が読める。意外と遅くまで空いている。
地域によって、図書館の充実度が異なる。例えば立川は、日本で出版された本の英語版、中国語版、韓国語版、イタリア語版etc. があり、とても感心した。
西早稲田キャンパス横の新宿区立図書館には「君の名は」のDVDがあった。土曜日は9時45分まで空いているので、ひょっとしたら、大学の図書館・読書室よりも使い勝手が良い場合があるかもしれない。1日に2回ほど館内の換気があり、読書を中断しなくてはならないことがあった(現在は不明)。
一橋、慶応など一部の大学図書館
私はまだ利用したことがないが、図書館相互利用協定を結んでいるようだ。制限付きだが、学生証の提示だけで入れそう(他の大学は何かしら書類を書かなくてはいけなかった気がする)。家が近ければ早稲田の図書館よりも便利なのではなかろうか。
追記:利用する際は、入口で学生証を見せたら前もって予約をしていなくても、名前等少し紙に記入したら中に入れた。
本屋・古本屋
文教堂赤坂店や渋谷の古書サンエーが閉店するなど、どんどん店舗が少なく、売り場面積も小さくなっている。本屋好きとしてはとても残念である。さらに、最近は売り場面積に占める漫画やビジネス書の割合が増えているように感じて少し悲しい。下手に本屋に行くよりも、近くにある大学の書籍部に行く方が品揃えが良いかもしれない。
高田馬場
芳林堂書店:高田馬場の数少ない本屋の一つ。理工書のコーナーへはエレベーターでは行けず、エスカレーターか階段を使うことになる。理工書に関しては理論の本はあまり多くなく、ブルーバックスやプログラミングの本やWeb作成とかの本が多い印象。ボードゲームがたまに安売りしている。かつてはもっと大きかったと聞く。
新宿
紀伊國屋書店新宿本店:個人的とても気に入っている。理工書の品揃えが知っている中で一番。本がとても多い。各国の地図が売っていたりする。
ブックファーストルミネ新宿店:ネットで大型店舗と書いてあったので、嬉々として行ってみたら、とても小規模でがっかりした。売っている本も、ビジネス書や自己啓発本や小説がほとんどで、学術書は皆無だった。岩波文庫がほんの少しあった。
ブックファースト新宿店:コクーンタワーの地下にある。駅から若干遠いように感じるかもしれないが、歩く歩道を使えば案外すぐ(歩く歩道は柔らかくて歩きやすい)。分野ごとにフロアが分かれており、専門的な本も結構ある。地下にあるからか、雰囲気が落ち着いているように感じた。
池袋
元々を知らないが、池袋の三省堂書店は小さくなったという話を聞く。実際行ってみても、それほど大きいと感じなかった。ジュンク堂書店はB1~9Fまであり大きく感じた。洋書の古本も売っていたはず。
古本
Let’s go 神保町。早稲田にもブックスルネッサンスなど古本屋が割とあるが、理工書はほとんどない。BOOK OFFは場所によって当たり外れがあるが、新書・文庫が安い印象。
【おわりに】
本屋・図書館巡りがちょっとした趣味なので、案内することも未踏の場所へ案内されることも好きである。未踏の図書館・本屋もまだまだあるので、声をかけていただけると喜ぶ。気軽に声をかけてもらえたらと思う。
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